スウィート・ドリームス・プレスは2007年の夏に始まりました。そもそもの目的は『スウィート・ドリームス』という名前の雑誌を発行するためでしたが、最初の活動はジュヌヴィエーヴ・カストレイという女性イラストレーターの「仮面」というタイトルの展示の企画・制作となりました。そして、その会期中にBEST MUSICのファースト・アルバム『Music for Supermarket』をリリースします。これはその数カ月前からずっと準備してきたもので、まるでスーパーマーケットのBGMみたいな音楽をオリジナル曲として精緻につくっていくという奇妙なアルバムでした。ジャケットには、まるでスーパーマーケットのチラシのようにポーズをとるカップル、カバーには大きく「レジにて半額」と書かれていて、そのことでレコード店からクレームが来たのも今となっては楽しい思い出です。

　そして、その３カ月後の12月に『スウィート・ドリームス』の第１号が完成します。四六判の128ページで本文はすべて１色、表紙も２色。それが予算内でできる精一杯のことでした。特集ページでは、その後一部で話題となるミステリアスなアウトサイダー・ミュージシャンのジャンデック（ヤンデック）のことを取り上げています。また、チーム・キャシーが自由に書ける治外法権のページをつくること、表紙にニキ・マックルーアの切り絵を使うこと。かねてより『スウィート・ドリームス』でやりたかったふたつのこともでき、その創刊号は嬉しいことに売り切れとなりました。刷り部数は1,000部でした。

　と、そのようにしてスウィート・ドリームス・プレスは始まり、その後３冊の『スウィート・ドリームス』を発行し、その合間にCDやレコードを出したり、美術展示をしたり、ツアーのブッキングをしたり、また、それらにあわせてまた本をつくったり、ということをしてきました。

　元々『スウィート・ドリームス』という雑誌は、通りのよいサブタイトルやキャッチコピーを持っていません。不親切かなという気もしますが、それは何かを想定したとたん大事なものが逃げていってしまうような予感がしたからです。しかし、かといって「サブタイトルがない」のがサブタイトルというようなわけでもなく、つまりはただのスウィート・ドリームスです。さらに言えば、スウィート・ドリームス・プレスは何かのジャンルに特別通じているわけでもありません。よく知っていることをうまく提示するのではなく、むしろ、興味はあってもそれまで余り知らなかった人やものとわたしたちがおどおどと知り合えていく過程が生き生きとそこにあれば幸いだと思っています。

　なお、このスウィート・ドリームス・プレスのウェブストアは2014年の冬に立ち上がりました。サイトの構築とデザインを担当してくれたのは前年の夏に『ひかりのたび』というアルバムをリリースした三富栄治くんです。また、トップページにレイアウトされている可愛らしいイラストは牧野玲子さんが描いてくれました。言うまでもなく、このショッピング・サイトはスウィート・ドリームス・プレスの名の下に制作した作品や、身近な作家、音楽家やアーティストがつくった商品を並べています。なお、ここで作品を買っていただけると、代金はそのままスウィート・ドリームス・プレスで次にやりたかったこと、つくりたかったものの糧となります。つまり、わたしたちはひとりひとりのお客さんに頼っている、ということです。どうもありがとう。感謝しています。

　さらにこのウェブストアは、幸か不幸かスウィート・ドリームス・プレスという存在に引っかかった方にとって、ひとつの窓口のようなものともなっています。ここで実際に僕らがつくっているものを注文して手に入れることができますし、注文するときに「スウィート・ドリームスのことは誰々から訊いたよ！」って気軽にメッセージを送っていただくことも可能です。もちろん「ちょっとあの記事はいただけなかったね。だって…」と購入後に伝えることもできます。ぜひ、あなたの意見や感想を直接聞かせてください。

　と、ついつい長くなってしまいました。お忙しいところどうもすみません。もし、このサイトで使いにくい部分、わかりにくい点があったら何なりとお申し付けください。さて、それではごゆっくりとショッピングをお楽しみください。よい毎日を！

スウィート・ドリームス・プレス
福田教雄