3つのパーツからなる幽玄なトレイサー組曲
日本盤のみのオリジナル・エンハンスドCD-EP
高い評価を得ている2004年リリースの力作アルバム『You Sound, Reflect』(Quarterstick)に収録されていた1分にも満たない小曲「Tracer」。しかし、この曲が、彼女にとってとても大切なキー・ソングだったことが、ありありと伝わる国内限定CD-EPが本作です。さまざまなバージョン、さまざまな環境で「Tracer」にアプローチする3曲はしかし、ひと続きの流れとして、例えばオペラや交響曲のような組曲風の仕上がりを思い浮かべてもらうのが好ましいでしょう。
夢の始まりを告げるようにベルが散り散りにうち鳴らされ、その中に愛らしいリフレインが聴きとれる瞬間、意識が遠のけば彼女ならではの陰影の濃いギター・ワークが登場する、まさにタラ・ジェイン・オニールの真骨頂と言える仕上がり(もちろん、アルバム『You Sound, Reflect』収録バージョンの「Tracer」とは異なった作りになっています)で、さらには、ある種のミニマル・ミュージックや雅楽などを思わせるドローンが背景を流れていく様子からも、彼女がまたひとつ高いステージに立ったことは明らか。
また、同じく「Tracer」を土台として敢行された、フレッド・ネモのダンスとのライヴ・インプロヴィゼーションの模様や、映像作家、セオ・エンジェルによる幻想的なアート・ビデオ「Atenamor」、ヴァネッサ・レンウィックの美麗な「Lure」。以上、三編の映像詩をエンハンスド仕様にて収録した本作。また、折り紙形式の手の込んだジャケット・アートも必見。もちろん、アートワークはタラ・ジェイン・オニール自身の手によるもので、2003年にマップから発行されたCD付きアート・ブック『Who Takes A Feather』同様、ファン必携の逸品と言えるでしょう。
なお、本作はスウィート・ドリームス・プレスではなく、mapのレーベル、コンパス・トーン・レコーズよりリリースされた作品となります。
アーティスト:タラ・ジェイン・オニール
タイトル:トレイサー
発売日:2005年5月11日
フォーマット:エンハンスドCD
パッケージ:変形ポスター・ジャケット
ライナーノーツ:行友太郎
Tracks:
1. Tracer I
2. Tracer II
3. Tracer III
Videos:
Lure(4'33”)
Atenamor(9'23”)
A Textural Improvisation Based on Tracer(17'18”)
External Link:
Tara Jane O'Neil official website