2010年代、韓国ソウルのホンデ(弘大)シーンを象徴するシンガー・ソングライター、読み応えある長編エッセイを付属した日本独自仕様の深く美しい最新セカンド・アルバム。
MacBook のGarageBand でみずから制作・録音した自作曲をそのまま収録したファースト・アルバム『ヨンヨンスン』で鮮烈なデビューを果たしてから4年、多くのファンが待ちわびたニュー・アルバムは、彼女の抱える葛藤や不安、日々の疑問を綴った長編エッセイと新曲10 曲を組み合わせた「読んで聴く」オーディオブック作品となりました。
困難な人間関係や家族のこと、大人になる悲しみや仕事、別れや死について……彼女のペンは自身の生活や思考をありのままに描くことに躊躇することなく、それが、ときにあまりにも赤裸々で痛切に感じられもしますが、全体に漂うほろ苦いユーモアとペーソスで読者はまた著者の「生」へと向き合うこととなります。大なり小なり問題を抱える私たちにとって、きっと『神様ごっこ』は発想の転換やそのヒントを手渡してくれる大切な一冊となるでしょう。
また、ホームレコーディング作品だった『ヨンヨンスン』から一転、今回はチェロ奏者のイ・ヘジ、ドラムスに404(サーコンサー)のチョ・インチョル、 さらにソリミュージアムのイ・デボンやソンキョルのキム・ギョンモら、手練のゲスト演奏家たちを迎え、精緻なアンサンブルに音楽家イ・ランの成長がはっきりと刻まれる力作となりました。
冒頭の「神様ごっこ」で聴かれるポスト・クラシカル・フォークと言えそうな新機軸や、「悲しく腹が立つ」のようなアトモスフェリックなアンビエント・ポップまで、ぐんと幅と奥行きを広げたイ・ラン第2章をお楽しみください。
【付属長編エッセイより抜粋】
人生のさまざまな要素のうち、私は楽しさを最優先に生きてきた。愛に満ちた人生、幸せな人生がどんなものかはよく分からない。私にとっては、楽しい人生こそが最善の形らしい。でも、楽しい人生とは、いつも笑顔で踊り出さずにいられないようなものではないと思う。むしろ眉をひそめた表情に近いもののような気がしている。例えばこの文章を書いている私の表情みたいなものだ。考えたことを字で書き、また考え、煮詰まったら友達とおしゃべりして、再び考えを整理して書く。この文章の題名を考え、どんな挿絵をつけるか悩む。そうして完璧な1ページをつくり出す気分が「楽しい」のである。考えることが、それを話すことが、歌うことが、そして書くことが楽しいのだ。
アーティスト:イ・ラン(이랑)
タイトル:神様ごっこ(신의 놀이)
発売日:2016年9月15日
フォーマット:CD+ブック
パッケージ:縦型特製ボックス/70Pブックレット(歌詞対訳掲載)
ライナーノーツ:成田圭祐(
イレギュラー・リズム・アサイラム)
イ・ラン(이랑):韓国ソウル生まれのマルチ・アーティスト。シンガー・ソングライター、映像作家、コミック作家と活動は多岐にわたる。2006年、アマチュア増幅器(ヤマガタ・トゥイークスター=ハンバのソロ・プロジェクト)の「金字塔」のカバーから音楽活動をスタート、日記代わりに録りためた自作曲が話題となり、ソモイム・レコーズと契約。2011年9月にシングル「よく知らないくせに」でデビュー。2012年春に初来日ツアーを実現させ、夏にアルバム『ヨンヨンスン』をリリース。韓国インディー・フォーク・シーンとびきりのニュー・タレントとして大きな注目を浴びる。2016年6月にはヘリコプター・レコーズから『新曲の部屋』コンピレーション、続けて4年ぶりとなる2枚目のオリジナル・アルバム『神様ごっこ』をリリースする。
1. 神様ごっこ
2. 家族を探して
3. 物語の中へ
4. 悲しく腹が立つ
5. 笑え、ユーモアに
6. 東京の友達
7. 平凡な人
8. 世界中の人々が私を憎みはじめた
9. 私はなんで知っているのですか
10. 良い知らせ、悪い知らせ
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