北米オルタナティブ・コミックス・シーンの超新星
ロン・リージー・ジュニアの人とコミックと作品と音楽
『ゴースト・ワールド』のダニエル・クロウズ、『ソフ・ボーイ』のアーチャー・プルウィット(ザ・シー・アンド・ケイク)、『ジミー・コリガン:世界一賢い子供』のクリス・ウェア…。数々のスター作家を生み出した90年代北米オルタナティブ・コミックス界。では、2000年代に入ってからのそれはどうなっているんだろう? そんな問いに答えるのが、このロン・リージー・ジュニアです。
ハイウォーター・ブックスというミニ出版社と、ライトニング・ボルト他を輩出した奇天烈コミュニティとして名を馳せたプロヴィデンスのフォート・サンダー。90年代末期から2000年代初頭のアンダーグラウンド・コミックス・シーンの鍵は、どうやらそのふたつにあったようです。そして、その両方の交わるところから登場したのがロン・リージー・ジュニアでした。
マサチューセッツ美術大学在籍時、コピー屋で働きながら、パンクのジンとアウトサイダー・フォーク・アート、アンダーグラウンド・コミックスをミックスした独自のスタイルでDIYミニコミックをつくりはじめ、マイス・パレードのアダム・ピアーズも一時期在籍したことで知られるシューゲイザー、スワーリーズの準メンバーとして、また、今でもベッキー・スターク嬢擁するラヴェンダー・ダイアモンドのドラマーとして活動するなど、彼はいつも一味違う音楽シーンの傍らにい続け、その健筆をふるってきました。
本書は2011年6〜7月に京都のトランスポップ・ギャラリーで開催されたロン・リージー・ジュニアの日本初個展を記念して制作されました。実際に展示された作品の図版だけではなく、彼のコミック作品も2点収録。また、インタビューや評論などの豊富なテキストで彼の作品の秘密に迫っていきます。広くアメリカン・オルタナティブ・コミックス・シーンのその後、オルタナティブ・カルチャーの今を知るためにも手軽な一冊と言えるでしょう。
コンテンツ:ロン・リージー・ジュニアの人生と作品のイントロダクション〜『ZAP』から『Paper Rodeo』に至る北米オルタナティブ・コミックについての2、3の一般論〜、アメリカン・オルタナティブ・コミックのたそがれ、創作の秘訣:ロン・リージー・ジュニアのインタビュー、ラヴェンダー畑までの紆余曲折〜ロン・リージー・ジュニアの音楽キャリア〜、ほか
寄稿者:サラ・ララ(ラッキー・ドラゴンズ)、ヤマダユウジ(トランスポップ・ギャラリー)、清水祐也、マーク・ベル、サミー・ハーカム
アーティスト:ロン・リージー・ジュニア
タイトル:The Cartoon Utopian(ロン・リージー・ジュニア:コミックのユートピア/ユートピアのコミック)
ISBN:978-4-9903771-8-2
発売日:2011年8月15日
サイズ:210×162mm
ページ数:本文冊子32ページ(フルカラー)
External Link:
Ron Regé, Jr. official blog