ゑでぃまぁこん+松井一平(TEASI)+アキツユコの新グループ
わすれろ草=いま、ファンタジーにできること
川下に向かって 茶畑を越えて ビニルハウス越えて 防砂林越えて 灯台に向かって 国道を越えて レンガ造り越えて 海岸を越えて 蜃気楼に向かって 魚の群れ越えて イルカ雲を越えて 光のピアノ弾いて (「レム王子、旅に出る」より)
さて、いくつもの景色を越えたその先にひそひそと車座で微笑む4人組──ゑでぃまぁこんのゑでゐ鼓雨磨と柔流まぁこん、そしてTEASIの松井一平とアキツユコ──がたたずんでいました。この2組のカップルが手をつなぎ見た夢、それがわすれろ草です。これまで大阪と東京のライブを収録したCD-R『BABY WORKS』(自主制作)だけが唯一のよりどころだった彼らの、最初のフル・アルバムがようやく完成しました。
本作に収録された9曲を聴いて、ある人は幻想的といい、またある人は童話のようだといい、さらにある人はサイケデリックだといい、違うある人は浮世離れしているといいます。ひとつのメロディが別のメロディを生み、支え、寄り添い、からまっていく。聴くたびに道中の新しい風物に気づかせ、違う場所にいざなう、そんな音楽。そうして、彼らは彼らにしかできないやり方で夢の入り口を開いてくれました。そういえば、作家のアーシュラ・K・ル=グウィンはこう言っています。
怠惰な精神の産物である使い回しのお定まりの設定ではなく、ほんものの空想によって生み出された社会や文化を舞台とするファンタジー作品を見つけると、わたしはいつも、花火を打ち上げたくなります。
冬の寒空に打ち上がる満天の花火、わすれろ草の音楽を聴いて頭に浮かぶのは、つまり、そのような風景です。さあ、空をあおぎ見、コートの襟を立て、彼らと一緒に旅に出ましょう。この夢は、そして、このアルバムは、ほんものの空想によって生み出されました。
アーティスト:わすれろ草
タイトル:みみくりげ
発売日:2012年3月15日
フォーマット:CD
パッケージ:A式紙ジャケット(ダブル)+20Pブックレット
アートワーク:松井一平
Tracks:
1. おいえ
2. 秋のつばめ
3. 縷縷
4. 旅鳥
5. 星のえくぼ
6. 転寝セラピー
7. レム王子、旅に出る
8. 燃える船灯
9. 光の池
External Link:
Wasurerogusa official website