苦難と喪失を乗り越えて完成した通算10枚目のオリジナル・ソロ・アルバム。ミニマルな構成と溶けるような音像の新境地に、歩みを止めないTJOの不屈が重なる傑作。
より「うた」にフォーカスを当て、シンガー・ソングライターとしての豊かな才能を開花させたアルバム『Tara Jane O’Neil』から7年、コロナ禍によるパンデミックはもちろん、家族や友人の死、さらにカリフォルニア州を襲ったトーマスという山火事で自宅を全焼するなど、多くの苦難と喪失を乗り越えたタラ・ジェイン・オニールが、ついに10枚目のオリジナル・ソロ・アルバムを完成させました。
前作以降も、広瀬奈々子監督のデビュー作『夜明け』のオリジナル・サウンド・トラックやマリサ・アンダーソンとの共作、ファースト・アルバム『Peregrine』の発売20周年を記念したデラックス・エディションなど、発表した作品数こそ少なくないものの、ゲストにオールウェイズ(Alvvays)のシェリダン・ライリーやメアリー・ラティモアとの共作でも知られるウォルト・マクレメンツ、ハンド・ハビッツのメグ・ダフィにマリサ・アンダーソンなど、近年、オニールが居を構える米西海岸で育まれた新たなネットワークと、そこから生み出されたミニマルでサイケデリック、スピリチュアルな音像とタフなアンサンブルは、タラ・ジェイン・オニールが踏み出した新たな一歩と連帯への営みを本作で存分に感じられるでしょう。
アンビエント・ジャズ、ミニマル・ミュージック、そして電子音楽など、近年のオニールの音楽的嗜好も溶け込ませながら、やはり、耳に残るのはその歌声とギターのトーン。哀しみを受け入れてまた歩を進めること、そして、再建への不屈の眼差しを、ぜひ『The Cool Cloud of Okayness』から感じとってください。なお、本作の米盤LPは、カシオトーン・フォー・ザ・ペインフリー・アローンとして活動するオーウェン・アシュワースが運営するオリンダル・レコーズよりリリースされますが、このCDバージョンはスウィート・ドリームス・プレスの独自リリースとなります。
アーティスト:タラ・ジェイン・オニール(Tara Jane O’Neil)
タイトル:ザ・クール・クラウド・オブ・オーケイネス(The Cool Cloud of Okayness)
発売日:2024年4月25日
パッケージ:CD(A式紙ジャケット+4パネル・フルカラー・インサート)
演奏:タラ・ジェイン・オニール、シェリダン・ライリー(Alvvays)、ウォルト・マクレメンツ、 メグ・ダフィ(Hand Habits、Duffy x Uhlmann)、マリサ・アンダーソンほか
マスタリング:ウォーレン・デフィーバー
ライナーノーツ:福田教雄
歌詞対訳:石居萌(mmm)
タラ・ジェイン・オニール(Tara Jane O’Neil):米ケンタッキー州ルイヴィル生まれのシンガー・ソングライター/マルチ演奏家。現在はカリフォルニア州オーハイ在住。ポスト・ハードコアの嚆矢のひとつ、ロダンのベース奏者としてキャリアをスタート。バンド解散後もソノラ・パイン、ファルスタッフといったグループで活動しながら、充実したソロ活動を続ける。『Peregrine』(2000年)以降、10枚のオリジナル・ソロ・アルバムをリリースし、その他、セバドー、アイダ、マリサ・アンダーソン、マイケル・ハーレー、ジャッキー・O・マザーファッカー、パパMなど客演・共演作品も多数。二階堂和美との共作アルバムも2011年にリリースしている。
曲目
1. Cool Cloud of Okayness
2. Seeing Grass
3. Two Stones
4. We Bright
5. A Dash
6. Glass Island
7. Curling
8. Fresh End
9. Kaichan Kitchen