韓国のアーティスト、イ・ランと『ぼのぼの』の漫画家、いがらしみきお。 世代・性別・国境を超えた、渾身の往復書簡集。
尊重しあう2人の作家が交わした文章に、魂が宿り、ひとつの世界が形作られる。
キム・ボラ『はちどり』監督
イ・ラン『私が30代になった』に、元々ファンだったいがらし氏に帯コメントを依頼して以降意気投合したふたり。コロナ禍の1年にわたって交わした手紙は、神、経済、AI、哲学、社会、映画、音楽、家族、生きること、等々尽きることなく対話が広がる。本書は韓国・日本でそれぞれ出版することになり、韓国では昨年12月にメディアチャンビより刊行。日本版には、その後にふたりが書いた手紙を収録。数々の苦難のなか交わされたことばは、深い思索と愛に満ち溢れ、読み手の胸に迫る。
私と、私が愛する友達にとって最も重要なことは「安全」です。それは、暴力の被害経験がある私には特に重要なイシューです。どんな人であれ、恐れることなく外に出かけられる世の中こそが、私の望む世の中です。 イ・ラン(本文より)
苦難の中で生きている人は尊い人だと思います。誰にとって尊いのかというと、私にとってであるし、私以外の誰かにとってであるし、世界中の苦難の中で生きている人にとってです。 いがらしみきお(本文より)
(出版社プレスリリースより)
特典として上の画像にあるリバーシブル・ポストカード1枚をおつけします(先着順)
出版社:タバブックス
著者:イ・ラン いがらしみきお
訳者:甘栗舎
装丁:惣田紗希
翻訳監修:小山内園子
表紙人形:工藤夏海
表紙撮影:植本一子
仕様:四六判/248ページ/並製
発売日:2022年7月28日
ISBN978-4-907053-55-0 C0098
上記のプレスリリースにあるように、発行元のタバブックスより2019年に刊行したコミック・エッセイ『私が30代になった』にコメントを寄せた漫画家、いがらしみきお。その後、イ・ランがジャパン・ツアーの際に立ち寄った仙台でいがらしみきおのスタジオを訪れ、ふたりは意気投合、一緒に何か「コラボレーション」しようと言い合う中で生まれたのが往復書簡集である本作『何卒よろしくお願いいたします』です。往復書簡集ということもあって、その受け答えややりとり、ふとした言葉をきっかけに思いが広がり、そして思考が深まっていきます。その話題は自身を取り巻く経済(活動)やAIの未来、インターネットやデジタル社会、映画『はちどり』やデヴィッド・グレーバーの諸作など、多岐に渡りますが、読んでいて何よりも気持ちが良いのはお互いへの耳の傾け方にあるでしょう。そんな点からも、もしイ・ランの著作をお読みになっていない方への最初の一冊として格好の本書。この社会の生きづらさを共有しながら、そこだけにとどまらず、読者自身の生き方に目を向けて胸を張らせてくれるような、そんな言葉が散りばめられた一冊です。